クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「学問を学びたいという気持ちを削ぐようなことは言わないが、木に登って覗くのはやめろ。落ちて骨折でもしたら危ないだろう」

「……はい」

国王の傍らに座るなど……と戸惑いを覚えつつ、アンナはジークの横にちょこんと膝を曲げて腰を下ろした。リデルは暖かな陽気に誘われていつの間にか寝息を立てている。リデルへ向ける眼差しは柔らかく、その毛並みの整ったの身体をジークがひと撫でするのを見た瞬間、アンナの胸がドクンと小さく鳴った。

(とっつきにくそうな人だと思っていたけれど……こんな表情もするんだわ)

ランドルシア王国の王で尊き存在だというのに、ジークを身近に感じる。これがウィルの言っていた彼の親しみやすさなのだろう。
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