Lonely Heart

ピロリロリン〜♪

今日は土曜日で1日寝てやろうと思っていた私の枕元で携帯が激しく鳴る。

寝ぼけながら時計を見ると時刻は午前10時。

「はい.........」

手探りで携帯を掴んでそのまま耳に持っていく。

「おはようございます。今すぐにめぐの家集合してください。」

それだけを言い残して一方的に切られた。

そんな雑な扱いをするのはめぐしかいない。

今すぐってまだ朝ですけど.........

低血圧の私は寝起きが悪く、しばらくはベッドから動けない。

少しの間ぼーっと天井をみてから重い体を無理矢理起こした。

「カチッカチッ」

とりあえずタバコに火をつけて一服.........

家には誰も居ない。

もちろんご飯もないし、この家では寝るだけの毎日。

歯磨きをして顔を洗ってそのまま家を出る。

5月の朝はまだ過ごしやすいから嫌いじゃない。

30秒程でめぐの家についた。

まぁこんなに近いからすぐに行けるんだけどね.....

この距離じゃなかったら絶対に行かない。

めぐの家に行く時は必ず鍵を開けていてくれていて、そのまま何も言わずに上がるというスタイル。

それはめぐのお母さんも承知している。

「おじゃましまーす......」

そーっと足音も立てずにめぐの部屋へと向かう。

「あら、瑠奈ちゃん!おはよ!」

途中で私に気づいたおばさんが笑顔で挨拶をしてくれる。

「おはようございます!朝早くからすみません。」

申し訳なさそうに言う私をみてニコッと優しい笑顔を向けてくれる。

あぁ........めぐと違ってなんて優しい人なんだろう.....

そんなことめぐに言ったらきっと殴り飛ばされる。

おばさんにコーヒーとパンを渡され、それを持ってめぐの部屋に入った。

「おい、こら、起きろ」

人を起こして置いてベッドで大の字になって寝転がっているめぐを叩き起す。

どこまで自分勝手なんだと思う反面、いつものことだから諦めている部分もある。

「起きてる起きてる......」

全く起きようとしないめぐをよそに、おばさんにもらったパンとコーヒーを頂く。

甘いものがあまり好きじゃない私のことをよく分かってくれているおばさんはいつも惣菜パンか食パンを出してくれる。

今日はピザトーストだ。

それを1口頬張る。

「んまっ」

その匂いに気づいたのかめぐが勢いよく起き上がった。

「はー!瑠奈だけせこいって!めぐのは!?」

「寝てる人にはないでーす」

少し意地悪をしてパンを隠すと、すぐにそれを見つけ私から奪い取る。

こいつは本当に子どもかよ.........

なんて思いつつ、私も持っていたピザトーストを口に入れた。

「で、今日は何する?」

甘ったるそうなパンを口に入れたまま問いかけてくる。

何するって、私の寝るという予定を崩したのは貴方ですよ.......めぐみさん.......

あえてその質問をスルーした私に、ひらめいた!と急に大きな声を出した。

「なんですか。」

不機嫌な私のことなんか気にせずハイテンションで続ける。

「カラオケいこ!!」

........っていつもと同じやないかーーーい!!

なんて思わず心の中でひとりツッコミをしてしまった。

休みの日に私たちが出かける場所と言えばカラオケ。

しかも開店から夜の7時まで。

まぁ好きだからいいんだけど.......

朝食を済ませ、おばさんに挨拶をしてカラオケへと向かった。

「お兄さん!いつもの部屋でいつものセットね!」

店に入るなり、めぐは馴れ馴れしく定員のお兄さんに注文している。

お兄さんはニコッと笑って用意してくれた。

そんな心優しいお兄さんにペコッと頭を下げて部屋へと向かう......



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