帝国レストリジア
まず、人一倍耳についたのは悲鳴に似た黄色い歓声。
明らかに今までとは観客の反応が違うことに疑問を感じたが、モニターに映し出され人を見て、すぐに謎が解けた。
確かに悲鳴をあげたくなるのが分かるような顔立ちをしている。
身なりはそこら辺のゴロツキのようだが、彼自身から溢れ出す雰囲気にはどこか違和感を感じる。
ゴロツキという言葉で終わらせるにはあまりにも似合わなさすぎる。
どちらかと言えば、騎士だと言われた方が納得がいく。
……。
…、そうか。
そういうことか。
「さてさて、両者が出揃いました!」
「よろしくお願いします。」
「え、君が勝ち上がってきたのかい?」
驚いたように見下げる彼。
180ぐらいはあるだろうか、170ある僕でも少し見上げる程度だから、相当大きい。
「はい、そうです。」
「へぇ、華奢な体でよく頑張ったね。」
上から下へと一通り確認するように見る。
確かに彼と比べると華奢なのは否めない。
薄着のせいもあり、彼の体は鍛え上げられているのがハッキリと分かる。
力をつけたいけど、運動量を増やしたところで、これ以上筋力がつかないんだから仕方がない。
「あまり華奢だからと見くびらないでくださいね。」
「あぁ、ごめんごめん。そういうつもりじゃなかったんだ。」
「あ、あと手加減は一切なしでお願いします。実力には自信がありますから。」
「言うねぇ、そういうの嫌いじゃないよ。じゃあ、俺も本気でいかせてもらおうかな。」
そう言って軽々と振り上げたのは大剣。
大剣かぁ。
それだと、あまりにもこれでは不利だ。
自分の手に持つ剣は大剣とは正反対の細い剣。
ぶつかり合ったら、折れてもおかしくない。