最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
今も内心何か気に入らなければ、怒鳴られるんじゃないかってビクビクしている。
「『ビアンカのオススメセット』にしようかな。アラビアータが好きなんだ」
メニューを指差して、兄はぎこちなく笑う。
だが、私に笑顔を見せること自体初めてで戸惑った。
これは本当に兄なのだろうか。
「……では、私も同じものにします」
兄を観察するように見ながら小さく頷いて店員を呼ぶ。
注文を済ませると、また兄とどう話せばいいかわからず、店員が持って来た水の入ったグラスを見つめた。
どんなに考えても言葉がうまく出て来ない。
すると、兄が水をゴクッと飲んで、話を切り出した。
「こないだ母の部屋を整理していたら、日記が出てきたんだ。お前を妊娠した時に書いたものらしくて……」
兄はバッグの中から可愛い花柄のノートを取り出し、私に手渡した。
「お母さんの……日記?」
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