独占欲強めな同期の極甘な求愛


課長に場所を聞き、無事たどり着いたものの、入り口で完全に怖気づいていた。なぜならぞろぞろと中に入って行く同じ会社の人と思われる人たちは、みんなおしゃれな私服にチェンジしているのに、私だけ仕事着の地味なパンツスーツだから。

しかも知り合いも友達もいない完全アウェイなこの状況。今にも逃げ出したかった。だいたい親睦会ってなに? プライベートの時間を割いてまで、どんだけみんな他の課の人と仲良くなりたいんだろう。

「あれ? 白鳥さん?」

ドアの隙間からまるで不審者のように中をこっそり覗いていると、後ろから声をかけられた。ドキッとしながら恐る恐る振り返ると、ビックリしたような顔で私を見下ろす三井さんがいた。

「あ……三井さん、お疲れ様です」
「白鳥さんも親睦会に来たの? 珍しいねー!」 
「や、その……課長に頼まれて仕方なく」
「そうなんだ。中入らないの?」

言いながら三井さんがほらほらと戸惑う私を中に促す。あー憂鬱だ。お酒の席も、人前に出るのも昔から苦手。今までことごとくこういうのには拒否してきたのに。

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