独占欲強めな同期の極甘な求愛


「たまにはこういうのに参加するのも楽しいよ? あ、ほらもうみんな集まってる」

三井さんに押されながら着いたところは、完全個室でソファ席になったおしゃれなダイニングバーのようなところだった。しかもすでにけっこうな人数が集まっていて、みんな楽しげに談笑している。

「君の王子様も来てるよ?」

ニヤッと口を歪め、おどおどする私に三井さんが言う。顔を上げ見てみると、そこには数人の女の子に囲まれる臣がいた。

やっぱりどこに行ってもモテる人だ。臣目当てで来ている人もいるんだろう。江頭さんもちゃっかり隣を陣取っているし。

だけどあの容姿で、高身長高学歴。そして会社の期待の星となれば、女の子なら誰でも近づきたいと思うはず。

そんな彼が今お嫁さん候補を探している最中だと知ったら、いったいどんな争いが繰り広げられるか。想像しただけで恐ろしい。


時間になり、今回の幹事だと言っていた臣が簡単に挨拶を済ませると、場は大いに盛り上がった。黄色い歓声がいたるところから上がる。まるでアイドル並みだ。

私は一人目立たない隅の席で、オレンジジュースに口をつけた。こういう集まりは月に1回ほどあっていると、さっき三井さんが教えてくれた。他の課と親睦を深めるのが本来の目的だけど、婚活目当ての人がほとんどだとか。

この会社に勤めても数年になるのに、今までこんな会が開催されていること事態を知らなかった私ってどんだけ疎いんだろう。というか、誘われたことなんて一度もない。つくづく地味OL生活だ。

< 30 / 138 >

この作品をシェア

pagetop