独占欲強めな同期の極甘な求愛
時間がたつにつれ、周りはどんどんボルテージが上がっていった。どこの課の子かしらないが、私の隣にいる男女もさっきからイチャイチャしている。
帰ろうかな。もう役目は果たし。臣は私がいること自体気が付いていなさそう。ううん、気が付いていたとしても、声もかけてこないだろう。あくまで他人のふり。それが約束。
そう思うと途端にバカバカしくなってきた。こんなところにいても時間の無駄だ。そう思い鞄を手に取り立ち上がった時「きゃっ」っと、隣から小さく悲鳴が聞こえた。見るとイチャついていた女の子の方が、ドリンクをソファに盛大にこぼしていたのだ。
「やだー、もう。こぼしちゃった」
そんな悠長なこと言っている場合じゃないのでは? ソファには甘そうなカクテルがどんどん染みている。それでも彼女は最悪ー! と愚痴をこぼしながら、自分の服だけを一生懸命拭いている。
「おしぼり、もらってきます」
見ていられず、痺れを切らしそう言うと、女の子は一瞬驚いたような顔 で私を見上げた後、戸惑いながらありがとうございますと言った。楽しむのは大いに結構。だけどお店に迷惑をかけるのは社会人としてなしだ。