独占欲強めな同期の極甘な求愛
「これは酷いな。予備とかもってないの?」
「ないですよ、そんなの」
「どうすんの。なにも見えないでしょ」
三井さんの言う通だ。裸眼じゃ1メートル先も見えない。電光掲示板も、人の顔さえも。
「家まで送るよ」
「で、でも!」
「見えないんでしょ? もう素直に従っときなよ」
三井さんに言われ、シュンとしながらはいと頷く。つくづく迷惑なやつだ。
「つかさ、ないほうがいいじゃん」
「え?」
「メガネ。ない方がいい」
不意に覗き込まれ、思いっきりのけ反る。
「そんなに拒絶しなくても」
「す、すみません」
「白鳥さんって、実は可愛いだな。いつも下向いて自信なさげな感じだから知らなかった。だから正直暗くて苦手だなーなんて思ってたけど、俺、今原石発見した気分」
ふふんと得意げに鼻を鳴らし、三井さんがニッと笑う。なんだかくすぐったい。臣以外の人に、メガネをはずしたところを見られたのは小学生のころ以来だから。