恋しくば

今日はなんだか、あたしばかりが話している気がする。辻本はあまり喋らないから。

「こんなこと言うと、周りから笑われると思って誰にも言えなかったんだけど、昔から友達と遊ぶのより勉強するのが好きだった」
「そんな感じがする。勉強してる葛野は、いつも、どこか眩しい」

眩しい、なんて。
そういう風に辻本に見えていたなんて。もっと前から知りたかった。

「ありがとう。辻本には知っててほしかったから。なんか言いたくなった」

笑えた。昔から、いつだってちゃんと笑える子供だった。嘘を吐くのを覚えるのと同じで、自然とそれは身についた。

< 73 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop