恋しくば
「やっぱり電気点けないと暗いね」
そう言って、紐に手を伸ばす。
その手を掴まれた。辻本に触れたのも、触れられたのも初めてだった。
驚いてそちらを見れば、窓の外の光を横顔に浴びた辻本がいた。顔が綺麗だ、とこんなときもそんな事しか考えられなかった。
何か、辻本は考えている。
あたしはいつもその内容がわからなかった。
「葛野、好きだ」
「……え?」
「葛野のことが、好きだ」
現実味がないのは、辻本がこの部屋にいるからか。
それとも、辻本が変なことを言っているからか。
「それは、面白くない冗談だと思う」
目を逸らした。