元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!
「わ……私が悪い子だから……神様は私に罰を与えたの……? 私が大公とミサに行くのを嫌がったから……神様は怒って私の赤ちゃんを奪ってしまわれたの……? 私が……ハプスブルク家に嫁いだことを何度も嘆いたから……私が悪い子だから……私のせいで……」
悲しみのどん底で自分を責め続ける少女の姿があまりにも哀れで、気がつくと私は彼女を抱きしめてボロボロと涙を溢れさせていた。
「あなたは悪くありません……! あんなに子が産まれるのを楽しみにしていた大公妃殿下が罰を受けることなどありません! これは偶然の不幸な出来事です。どうかご自分を責めないでください……」
ゾフィー大公妃は私の身体にしがみつくように抱きついてわんわんと泣き続けた。こんなにも人は泣き続けられるのかと驚くほど泣いて、泣いて……やがて体力が尽きて眠りに落ちた。
(……本当はライヒシュタット公に慰めて欲しかったんだろうな)
幾筋も涙の跡の残った寝顔をそっと指で撫でながら、思った。
きっとライヒシュタット公も彼女のもとに駆けつけたいと思っているだろうけれど、叶わないのだろう。
ゾフィー大公妃とライヒシュタット公の関係は義理の伯母と甥の関係に当たる。身内なのだから見舞いに駆けつけてもおかしくはないのだけれど、ふたりが好意を寄せ合っている関係だという噂は、もはや宮廷中が知るところだ。
このようなデリケートな問題にライヒシュタット公が介入してよけいな噂になることを、皇帝陛下も周りの宮廷官も避けたいと思っているに違いない。