ハイリスク・ハイリターン
「明日からまた仕事なんだから。これは没収」
「あ、それ俺の――」
突如としてぐっと近づいた距離に思わず息を飲む。
透真が缶を奪おうとした。
それを阻止した。
気づけば私は仰向けになっていて、見上げた先には透真の顔があった。その表情は逆光でよくわからなかったけれど。
そうしたら、手に持っていたはずの、まだ中身の入った未開封の缶は鈍い音を立てて転がった。
なんだかありふれた展開だな、と。
どこか冷静な頭で考えていた。
――いや、冷静じゃなかったんだろう。
「――――、」
私か、透真か。
どっちだったかな。
名前を呼んで、手を伸ばして。
そこからは、目の前の熱にただただ夢中だった。