敵国騎士と命懸けの恋
颯真の答えに、思わず床に座り込んだ。
彼は騎士で国王の命令には絶対に従わなければならないだろうけれど、もう少し、もう少しだけ躊躇ってくれても良かったのに。
満足気に頷いた国王は、私を一瞥して口角を上げた。
まるでおまえの味方などいないと言われているようで、腹が立つ。
「さぁ姫。もう何もしないから、ベッドに戻ろう」
右手を差し出され、無視をする。
こんな奴の手なんて借りるものか。
「姫はご機嫌斜めのようだね。さぁ私は午後の公務に戻るとしよう」
私の横を通り過ぎる国王と目を合わせないように、床を見つめる。
せっかく治りかけていたのに、気持ち悪さが再びこみ上げる。
閉まった扉の音を聞いても、気分は晴れなかった。