敵国騎士と命懸けの恋
トントン、扉を叩く音がして白と黒のメイド服を着込んだ小柄な女性が顔を覗かせた。
「昼食をお持ちいたしました」
監禁されてるわけでなく、風通しの良い病室で温かい食事も3食きちんと提供される。国王の計らいにより、衣食住に困らない日々。このままでいいのかな…。
「うわ、美味しそう」
働かざる者食うべからず。そんな言葉が浮かんだが、食欲を誘う香りには勝てない。
きのことじゃがいもがたっぷり入った湯気の立つスープと、ふわふわの丸パン、木苺のケーキまである。
「お代わりもありますので、温かいうちに召し上がってください」
颯真と私の分を運んでくれた彼女は、私がここに来てからずっと食事の担当をしてくれている。彼女の仕事も増やしてしまって申し訳ないな。
「いただきます。ほら、颯真さんも」
まだ書物を読んでいる颯真に食べるように促しながら、スープを掬う。
そして口に入れた瞬間、ふんわりと優しい味が広がった。
「ぉぃ……」
けれど感想を口にしようとした途端、喉がカッと熱くなった。