敵国騎士と命懸けの恋
目を開けるとお医者様が側にいてすぐに薬をくれた。
反対側のベッドに視線を向けると、綺麗に畳まれた布団があるだけだ。
「颯真なら、湯浴みに言っておる。私の妻が後でそなたの身体を拭きにくるから、包帯はその時に取り換えよう」
「いつもありがとうございます」
そうだ。私はお医者様にも生かされているのだ。
「どうして先生は親身にしてくださるのです?私はいずれ…」
「例え敵国の者であろうと、尊い命に変わりないからさ。それは颯真にとっても同じだろう。倒れたそなたを見て青い顔をしておったよ。捕らえたメイドを今にも殺しそうな勢いであった」
「颯真さんは優しいから」
「それはどうだろうか…」
「え?」
初老のお医者様は難しい顔をしている。
「昔から颯真は飛護国王の忠実な犬で有名だ。あまり期待しない方がいい」
「そんな言い方…」
「それとも、もう恋に落ちてしまったか」
静かな問いだった。