敵国騎士と命懸けの恋

夕飯は初めて見た顔の男性が運んできてくれた。料理人の方だろうか。

短く切り揃えられた黒髪に黒い目。その顔は不機嫌で、氷のように冷たい空気を纏っていた。


「王宮の料理見習い、夕陽(ゆうひ)と申します。あなたの料理担当です。いつもメイドに運んでもらってましたが、これからは直接僕が料理を運びます」


「お手数をおかけします」


淡々と語るその声には感情が見えない。
そうだよね。立派な料理人の方が敵国の姫君なんかにその腕を振舞わないといけない。仕事と言えど、嫌悪を抱くに違いない。


「あの、」


サイドテーブルに次々とお皿が並べられていく。良い香りが鼻腔をくすぐり、傷の痛みよりも食欲が勝る。料理の力って凄い。


「いつも美味しいご飯をありがとうございます」


「……」


「今夜は炊き込みご飯ですね。私、大好物です。お昼のきのこスープも食べたかったです…もったいないことしちゃったな…」


「冷めないうちにどうぞ」


「いただきます」


お言葉に甘えて遠慮なく箸を持つ。
そして炊き込みご飯を口にした。

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