敵国騎士と命懸けの恋

「いいから早く、俺にもくれ」


颯真の文句が聞こえ、先に頂いていたことを思い出す。


「すみません!」


「あなたが謝る必要ないです。この人は昔からわがままの塊なので」


そう言いながら颯真のテーブルに料理が素早く並べられた。テーブルの上に置かれる食器の音が少し乱暴に聞こえたけれど。



「お2人は親しいのですか」


「親しいもなにも、この人は僕の兄なので」


え?
颯真を見れば、視線は料理に向いていた。


料理人見習いの夕陽と颯真は、髪色と目の色が同じ黒で、人を寄せ付けない雰囲気にも似ている。






『唯一の家族なんだが、嫌われててな。殺生を重ねる俺を軽蔑したような目で見るんだ』


颯真から聞いた数少ない彼の情報。
そうか、夕陽は颯真にとってのただひとりの大切な家族なのだ。


< 40 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop