敵国騎士と命懸けの恋

食後のケーキも絶品。これで試作品?
見習いのレベルを超えていると絶賛しても、夕陽は相変わらずしかめっ面だった。


最初は颯真の感情も読み取れなかったけれど、彼以上に夕陽さんは分かりにくい。ポーカーフェイスだ。


「夕陽さん、あまり笑いませんね」


「あまりというか、もう何年も弟の笑った顔を見てない」


食事を終えて出窓に腰掛けてこちらを見た颯真は寂しそうだ。

2人の間に何があったか、好奇心だけで口を挟んでいいことではない。家族の問題がどれほど重いテーマか、家を出た私も身をもって知っているから。


「うちと同じです」


私も自嘲気味に笑うしかなかった。


「あんたがいれば、周りは明るくなると思うが」


「そうですか?残念ながら、私は家族のお荷物でしかなくて…婚期を逃した姫の使い道はないのですって」


国王ーー父から告げられたその言葉をきっかけに乳母の家に逃げ出した。どうすれば良いか、私にはもうひとつも分からなかった。


< 41 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop