敵国騎士と命懸けの恋
食後のケーキも絶品。これで試作品?
見習いのレベルを超えていると絶賛しても、夕陽は相変わらずしかめっ面だった。
最初は颯真の感情も読み取れなかったけれど、彼以上に夕陽さんは分かりにくい。ポーカーフェイスだ。
「夕陽さん、あまり笑いませんね」
「あまりというか、もう何年も弟の笑った顔を見てない」
食事を終えて出窓に腰掛けてこちらを見た颯真は寂しそうだ。
2人の間に何があったか、好奇心だけで口を挟んでいいことではない。家族の問題がどれほど重いテーマか、家を出た私も身をもって知っているから。
「うちと同じです」
私も自嘲気味に笑うしかなかった。
「あんたがいれば、周りは明るくなると思うが」
「そうですか?残念ながら、私は家族のお荷物でしかなくて…婚期を逃した姫の使い道はないのですって」
国王ーー父から告げられたその言葉をきっかけに乳母の家に逃げ出した。どうすれば良いか、私にはもうひとつも分からなかった。