敵国騎士と命懸けの恋
窓辺に近付き、颯真の隣りに立つ。
「あんた、動いていいのか…」
「美味しいものを食べて元気が出ました。夕陽さんは凄腕の料理人ですね」
「ああ」
「自慢の弟さんですね」
「ああ」
真っ暗な夜空。
星は見えず雲に覆われた空だけど、私たちは黙って見上げていた。
人は心を雲のような見えない壁で覆い、本心をさらけ出すことを躊躇う。例え家族にさえも言えないことは多い。
そう分かっているのに、どこかで他人に期待してまた傷つくのだ。
「外に出るか」
「出れるんですか?」
勢いよく颯真を見る。
「火傷が治ったらだがな」
「でも飛護国王が許しますか」
「ああ」
これ以上のワガママを受け入れてもらえるはずがないと思う。それでも颯真の提案は嬉しかった。