敵国騎士と命懸けの恋

メイドさんが浴衣を着せてくれた。飛護国王のご厚意だというけど、裏がありそうで怖い。

黒をベースにカラフルな花々を散りばめた華やかな肌触りの良い浴衣。髪も結わいてもらい、準備は万端だ。

颯真さんが戻るまで待機するように伝言を残し、部屋を出て行くメンドさんに何度もお礼を言った。


開け放たれた窓から祭りばやしの音が聞こえてくる。

国民も祭りを楽しみにしていたことだろう。せっかく祭りを潰すようなことはしてはダメだな。それに浴衣では速く走れなそうだ。


うん。今日は純粋に楽しもう。逃げる機会なら、きっと訪れる。



決意して顔を上げると、木々の間に人影が見えた。


颯真さんがいない間の私の監視役だろうか。いや、視線は感じなかった。人の視線には敏感だから、誰かに見られていたら絶対に気付く。


「…あれは、」



人影が動き、その向こうに銀髪の後姿が見えた。

見覚えのある金縁の黒いマントは飛護国王のものだ。

国王と?ーー誰?


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