敵国騎士と命懸けの恋
人影が木々に身を隠しながら慎重に飛護国王に近付いている。太陽に反射して、人影の持つなにかがキラリと光った。
刃物だと気付くことに時間はかからなかった。
幸い人影は私に気付いていない。
「はあ、…っ、」
息を吸い、声を上げようとすれば喉に鋭い痛みが走る。先日の毒はすっかり抜けたが、喉の違和感はまだとれずに大声は出せない。
それなら…
出窓に乗り上げ、裸足のまま外に出た。
昔から走ることは、好きだ。
今の服装では走りにくいけれどなんとか体勢を保ちつつ、心の中で大声を上げながら人影の元へ走る。
息の乱れもなく、音も立てず、ただ駆け抜けた。
人影を目指して。