敵国騎士と命懸けの恋
しかし身体の痛みと鈍った足腰では思ったようには走れなかった。
どうしよう、間に合わない…。
このままでは人影が飛護国王に近付く方が先になってしまう。
お願い、気付いて!
願いは虚しく、
人影が国王の背に刃先を向けた瞬間、血吹雪が飛んだ。
人影は細身の若い男で、その身体がぐらりと傾く。
「そんな刃で私を殺せると思ったか」
銀髪をなびかせながら振り返った飛護国王の
白衣装には血が飛び散っていた。
その目は戦場で命の危機にある男のものでなく、獲物を捕らえた勝者のものだ。
「くそっ、」
地面に跪いた若い男は腹をおさえ、そこから血が溢れている。
「そなたのような弱者に命を奪われる弱き王はここにはおらんぞ」
震えながら傷口をおさえる男を見下した国王は、口元に笑みを称えていた。
その光景を目にし、飛護国王が"死神"と呼ばれていることをようやく思い出した。