敵国騎士と命懸けの恋
国王の手に握られたままの長剣が太陽に反射して輝いているが、それを綺麗だとは思えない。
どうして争いは起こるのだろうか。
この男にも、飛護国王にも譲れないものがあって対峙しているのだろうけれど。国民を守ることもまた王の使命だと思うのだ。
「さて、囚われの姫。そなたはなにをしているのかな」
手元を見ることもなく剣をおさめ、鋭い視線をよこしてきた。
怯むものか。
「なにって、…あなたが危なそうだったから」
「くくッ、」
笑い出した国王を無視して、男を見る。痛みに呻いていた。
私に注意が逸れているうちに逃げて欲しいとは思うが、傷口が深いようで立ち上がることすら難しそうだ。
「本当に面白い子だね。心配しなくてもすぐに殺したりしないよ。たっぷり拷問してからにするよ」
男のすすり泣く声がする。
「…殺さない道はないのでしょうか」
「一国の国王に刃を向けた犯罪者を生かせと?それは甘すぎやしないかな」
「せめて理由を聞いてから…」
「人の命を奪うことに理由なんているかい?それともそなたは戦場でもいちいち理由を聞いて、それから殺すか選べと?もちろんそんな猶予はないし、私に殺意を持つものは全滅させてやるさーー私の考えは誤っているか、颯真?」
国王の視線を辿れば、私の少し後ろに颯真が立っていた。
「いいえ」
短い返事をした颯真は冷めた目をしていた。