敵国騎士と命懸けの恋
それから大勢の騎士が駆け付け、若い男は取り押さえられた。もう抵抗できる状態にないというのに、手錠をかけられて乱暴に連れて行かれる。
その虚しい様子が、人ごとには思えなかった。
私も近い将来…。
「まさか素手であの男とやり合おうとしたわけではないだろうな」
ネガティブな思考に陥りそうになったが、颯真が留めてくれた。
「声が出せなくて」
咄嗟のことで大声が出せなかった。
だから走ったけれどその後、どうするかまでは考えていなかった。
「いい加減にしろ。声が出ないなら、物音を立てるだとか別の方法があるだろう」
「でも国王が私に気を取られている隙を男に狙われたらどうするのですか」
強気に言ってみたものの小さな声しか出せない。
険しい顔で颯真に睨まれる。
「…まぁ颯真。敵国の姫が私を助けようとしてくれたんだ、そう怒るでない」
飛護国王は私たちに歩み寄り、そして私の髪に触れた。一房とられ、そこに口づけをおとされる。
「ありがとう」
ここにきて初めてまともな言葉を飛護国王からかけられた。