敵国騎士と命懸けの恋
これから祭りの式典に参加するという国王を見送った後、急ぎ足で部屋に戻る。
「おい、窓から入る気か」
後ろから息も乱さず付いてきた颯真の声に振り返らずに、窓枠に手をかける。
「出る時も窓から来たし、問題ないです」
本来の入り口から戻るのであれば一度、中庭を抜けて長い廊下を歩いて部屋を目指さなければならない。せっかくの時間を無駄にしたくないのだ。
身体は柔らかい方だし、勢いをつければ窓から室内に侵入できるだろうと右足を上げる。
「…問題あるだろ」
聞こえた声は随分と近くて、吐息が耳にかかる。
ビクッとして振り返れば、身体が浮いた。
「服だって汚れるぞ」
脇腹に手を添えて、彼の力で引き上げてくれた。
ひょいっと、軽々しく。
背に颯真の体温を感じ、無事に室内に戻った私は下を向いた。