敵国騎士と命懸けの恋
長い足と鍛えられた腕を駆使して颯真も室内に戻った。
「…ありがとうございます」
突然のことで驚いたけれど、颯真なりの気遣いだろう。恥ずかしかったけれど目を見て礼を言うと彼は小さく頷いた。
「それより出掛けるんだろ」
「はい」
無茶なことをしてしまった疲労感と、全身の痛みを感じているが、せっかくの機会を台無しにはしたくない。
颯真との力の差をたった今、身を持って知ったばかりだし、疲れているし、逃げるつもりは毛頭なかった。
今夜は祭りを純粋に楽しみたい一心だ。
「乱れてるから、メイドを呼んでくる」
「はい?」
「待ってろ」
そう言って颯真が私を見ずに出て行ってしまったけれど、言われて気付く。
浴衣の前がはだけて、僅かに肌が露わになっていた。
「これだから、姫に相応しくないと言われるのだろうな…」
着付けてくれたメイドさんに申し訳なく思いながら、ベッドに座り込んだ。
足に痛みが走ったが、気付かないフリをした。