うそつきペン
「へぇ、こういう感じなんだ」


ツグミは興味津々と言った様子で店内を見回した。


店内も喫茶店をイメージしているのか、こげ茶色の丸いテーブルにレースのテーブルクロスがひかれ、その上にノートやペンと言った類の文房具が並べられている。


照明はどこか薄暗く、昔流行った曲が流れている。


店内の雰囲気に立ち止まっていると、奥から20代半ばくらいに見える女性が出て来た。


茶色いエプロンをしていて、胸のあたりに『野崎喫茶店』というロゴが入れられている。


しかし、そのロゴはところどころ剝がれてしまっていた。


「こんにちは」


ツグミが元気よくそう言うので、あたしも慌てて「こんにちは」と、女性へ向けて挨拶をした。
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