強制食料制度
そう思い、あたしは俊和の手を握りしめた。


俊和はあたしの手を優しく握り返してくれる。


暖かくて、頼りがいのある手だ。


「開けるぞ」


俊和が体育館の重たいドアを開く……。


瞬間、体育館内の暗がりが月明かりによって照らし出された。


窓から差し込む明かりが無数の生徒や先生の顔を浮かび上がらせる。


「え……」


あたしは動けないまま小さくそう言う事しかできなかった。


「ごめん、唯香」


俊和はしっかりと握りしめていた手を離し、あたしの背中を押したのだった……。
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