先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
航said
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最近何かと目に付く花笑の周辺・・・。

男どもがチラチラと花笑を見ているのが気になってしょうがない。
付き合うようになってから花笑は会社でも屈託なく笑うようになった。
大人しく控えめだった印象が明るく華やかに変わって、昔の天真爛漫な花笑が戻ってきたと安堵していた。

…が、

それがいけなかったらしい。

日野に言わせると、

「癒しの存在だった松崎が明るくなって今や彼女にしたいNo1!なんですよ!うかうかしてられませんよ!」

だ、そうだ…。

営業部の中は俺が目を光らせているからいいとして…。

一歩、営業部から出ると、そこかしこから男どもの目線が花笑を追っている。
「今度、松崎さんを飲みに誘おう。」なんて声が聞こえた日には、
「おい、うちの松崎になんか用か?」と、睨みを利かせ追っ払うのが日常になった。

当の本人は、熱い視線など全く気にしておらず…というより自分に関して鈍感なところがあり気が付いてない。
これにはちょっと男どもに同情する。
だからといって花笑に近づく事は許さないが…。

飲みに誘われたとしても酒が飲めないから一人で誘いを受ける事はない。
必ず夏野と一緒の時しか誘いには乗るなと言ってある。
夏野は酒豪で酔っぱらうことがないから、花笑が潰れても直ぐに俺に連絡をくれるよう頼んである。

「任せて下さい!花笑さんは私が守ります!」

と、拳片手に鼻息荒く宣言してくれてる。
頼もしい限りだ。
日野と置田も俺達のことを知っているが、男には頼みたくない…。

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