先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

みんな必死になって仕事してたけど、やっぱり終わらなくて泣く泣く残業の人達を残して私達は定時で上がった。

今日来れるのは小山さん、日野くん、知佳ちゃん、営業の水沢さん、浅野さん、西川さんも来てくれる。
西川さんとは前は仕事の話意外で話すことはあまりなかったんだけど、助けてもらった頃から話してみると楽しくて最近何かと意気投合していた。
置田くんは残業組。「急いで終わらせてすぐにいきますから!」と必死で仕事をしていた。

お酒とケーキはみんなが用意してくれるそうなので、料理担当の私達はスーパーに寄って買い出しをして帰って来た。
約束の時間は7時。
あまり時間がないので航さんと二人で手分けして料理した。

「ったく、何であいつらのために作んないといけないんだ?」

揚げ物をしている私の横で、ワイシャツのまま腕捲りしてお刺身を切ってる航さんはまだぶつぶつ文句言ってる。

「まだ怒ってるの?みんなお祝いしてくれるっていうのに」

苦笑いで航さんを見たら、両手が塞がったまま、おでこをコツンと合わせてきた。

「せっかく二人キリで祝うはずだったんだがな…。まあいい。花笑が嬉しそうなら」

「フフ、二人きりもいいけど、みんながお祝いしてくれるのも嬉しいよ。お客様がウチに来るのも初めてだもの、ワクワクする!」

にっこり笑ったら、フッと航さんは笑ってチュッとキスをした。
見つめ合って甘いムードが漂ってきたところへ、ピンポーンとチャイムが鳴った。

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