【完】さつきあめ
そんなの、綺麗ごとだったのかもしれない。
でもこの人は1番お店で女の子たちを間近で見てきて、考えてくれている人だ。
この夜深海と話したことによって、自分の中に抱えていた重い荷物がおろされていくことを感じたんだ。
レイばかり意識して、レイばかりを見てきて、大切なもの何ひとつ見えちゃいなかったんだ。
売り上げの事を考えれば考えるほどお客さんを失っていった。
レイのことしか見えていなかった証拠だ。
転落はいつもあっという間だった。
もがけばもがくほど、足を取られていき、誰かに突き飛ばされた手の中には残るものがあったのだろうか。
数日後、レイの客足がぱたりと止んだ。
それと同時に女の子たちの間では不穏な空気が流れていた。
「だって、あたしのお客さん、レイに指名変えしたって、いきなりおかしいと思ったんだよね~」
「あいつ、枕でしょ?シャインの時もそうだったんじゃないの?
あたしレイの客のヘルプについた時に言われたもん、レイはヤらせてくれるから指名してるって」
「そうやって客とってたんだー
そうまでしてナンバー1になりたいなんて汚いよねー」
落ちる時はあっという間だった。
元々女の子との折り合いも良くなかったレイのことだ。
指名や売り上げがぐっと落ちていたが、それでもレイは陰口にも動じることはなかったし、自分の卓では天真爛漫な笑顔を振りまいていた。 それでも少し疲れているように、わたしには見えた。
深海の言うことは当たっていて、そんなレイとは対称的にわたしはレイの真似を辞めた途端売り上げも指名もぐんぐんと伸びてきた。それを手放しで喜べなかったのは、あの日更衣室でレイがひとりで声を殺すように泣いていたから。
どんな手を使ってでもなりたかったナンバー1。それも全部光のためだって知ってたから。
でもこの人は1番お店で女の子たちを間近で見てきて、考えてくれている人だ。
この夜深海と話したことによって、自分の中に抱えていた重い荷物がおろされていくことを感じたんだ。
レイばかり意識して、レイばかりを見てきて、大切なもの何ひとつ見えちゃいなかったんだ。
売り上げの事を考えれば考えるほどお客さんを失っていった。
レイのことしか見えていなかった証拠だ。
転落はいつもあっという間だった。
もがけばもがくほど、足を取られていき、誰かに突き飛ばされた手の中には残るものがあったのだろうか。
数日後、レイの客足がぱたりと止んだ。
それと同時に女の子たちの間では不穏な空気が流れていた。
「だって、あたしのお客さん、レイに指名変えしたって、いきなりおかしいと思ったんだよね~」
「あいつ、枕でしょ?シャインの時もそうだったんじゃないの?
あたしレイの客のヘルプについた時に言われたもん、レイはヤらせてくれるから指名してるって」
「そうやって客とってたんだー
そうまでしてナンバー1になりたいなんて汚いよねー」
落ちる時はあっという間だった。
元々女の子との折り合いも良くなかったレイのことだ。
指名や売り上げがぐっと落ちていたが、それでもレイは陰口にも動じることはなかったし、自分の卓では天真爛漫な笑顔を振りまいていた。 それでも少し疲れているように、わたしには見えた。
深海の言うことは当たっていて、そんなレイとは対称的にわたしはレイの真似を辞めた途端売り上げも指名もぐんぐんと伸びてきた。それを手放しで喜べなかったのは、あの日更衣室でレイがひとりで声を殺すように泣いていたから。
どんな手を使ってでもなりたかったナンバー1。それも全部光のためだって知ってたから。