【完】さつきあめ
月の終わり。
締め日。
お店は実に賑わいを見せていた。
ここで綾乃には負けられない。そう思っていたわたしに、思いもがけないお客さんが待っていた。
出勤してからVIPルームが埋まってるのは確認した。おそらく綾乃のお客さんだろう。
けれど今日は、その場にいるだけでガラッと場の雰囲気を変えてしまうような客人が待ちわびていたのだ。
「あれ?ゆりちゃんじゃない?」
わたしより先に気づいたのは、桜井の方だった。
わたしの指名客はすでに4組来ていた。
その中で、ホールでひと際目立つあの女がいた。
私服姿でいるのに、お店にいる女の子誰よりも目立っていた。
出勤してきたと同時に、深海が忙しそうにかけよってきた。
「安井さんと黒田さん、伊藤さんも来てるな。
あと、小笠原さんがゆりと一緒に来てお前を指名してる」
「やっぱり…小笠原さん…」
「今日はゆりと同伴で店にきたらしい。
出勤の関係もあるから、小笠原さんのところから着いてくれ」
「はい…」
小笠原がゆりと同伴するなんて1つもおかしくない。
わたしとだって同伴するし、ゆりの方が付き合いだって長い。
そんな事でいちいち傷ついてなんかいられない。けれど、何故わたしの店に来るのだろう。
勿論キャバ嬢同士の付き合いがあり、同じお客さんを持つもの同士なら、こうやって同伴に使うのは別におかしい事ではない。
けれど、ゆりは絶対にわたしに好意的ではない。
締め日。
お店は実に賑わいを見せていた。
ここで綾乃には負けられない。そう思っていたわたしに、思いもがけないお客さんが待っていた。
出勤してからVIPルームが埋まってるのは確認した。おそらく綾乃のお客さんだろう。
けれど今日は、その場にいるだけでガラッと場の雰囲気を変えてしまうような客人が待ちわびていたのだ。
「あれ?ゆりちゃんじゃない?」
わたしより先に気づいたのは、桜井の方だった。
わたしの指名客はすでに4組来ていた。
その中で、ホールでひと際目立つあの女がいた。
私服姿でいるのに、お店にいる女の子誰よりも目立っていた。
出勤してきたと同時に、深海が忙しそうにかけよってきた。
「安井さんと黒田さん、伊藤さんも来てるな。
あと、小笠原さんがゆりと一緒に来てお前を指名してる」
「やっぱり…小笠原さん…」
「今日はゆりと同伴で店にきたらしい。
出勤の関係もあるから、小笠原さんのところから着いてくれ」
「はい…」
小笠原がゆりと同伴するなんて1つもおかしくない。
わたしとだって同伴するし、ゆりの方が付き合いだって長い。
そんな事でいちいち傷ついてなんかいられない。けれど、何故わたしの店に来るのだろう。
勿論キャバ嬢同士の付き合いがあり、同じお客さんを持つもの同士なら、こうやって同伴に使うのは別におかしい事ではない。
けれど、ゆりは絶対にわたしに好意的ではない。