【完】さつきあめ
「そしたら、一緒にさくらちゃんも来てぇ~!
なんか一緒にご飯行ってたみたい」
ニヤっとゆりが笑う。
あの時は光と2人きりではなかったし、実際ゆりも朝日の家にいたわけなんだけど
ゆりは都合の良い話を作り上げて、まるでわたしと光に何かあるのではないかと含み話をしている。
もう敵意は十分伝わってきた。
わたしと小笠原を引き離すのが目的なのだろう。
「あんな夜中に一緒にいるのびっくりしてぇ~!
さくらちゃん社長に気に入られてるって聞いたしぃ~
有明社長かっこいいし、女の子からモテるからなぁ~!ゆりは全然タイプじゃないけど~」
「そうだね、有明くんは素敵な人だよね」
小笠原はいつものトーンでそう答えたが、わたしの腕はわなわなと震えていた。
ここで変に否定しても焦っておかしな事を言ってしまいそうだし、黙っているのもずっとおかしい。
けれど、この威圧的なくらい綺麗な人を前に、わたしは何も言えなくなってしまっていた。
朝日の予感が当たって、この人はわたしを潰しにきたのだ。
「失礼します。ドンペリピンクお持ちいたしました」
その時、シャンパンを持ってきた深海がやってきた。
高橋ではなく、深海がやってきた。いつもは付け回しをしていることの方が多い。こんな込み合ってる日なら尚更だ。