【完】さつきあめ

「んー…タイプもない!好きになった人がタイプ!
さくらは王子様系でしょ?光くんなんかいかにもって感じだよね。THREEには光くんのファンもたくさんいるから気をつけることだねー」

「えー、付き合ってないのに恨まれるなんてそんなのないよぉ…」

「はは、しゃーなし!」

セットをし終わって同伴に向かう。
ゆいも同伴だという。
指名の多さは一目瞭然、同伴も多いのだという。
本人いわく、同伴はご飯代が浮いてラッキーらしい。…なんていうか、あっけらかんとして変わっている子なのだ。

ゆいと別れて、小笠原との同伴へ急ぐ。
小笠原はシーズンズからTHREEへの移動を悪くは思っていなかった。
シーズンズはやっぱり大衆キャバクラだから、とも言っていた。
わたしはそれが少しショックだった。深海の造り上げる、あのお店が今更ながら大好きだったのだと知る。

「THREEも付き合いで何度か来た事がある。内装が赤いんだよね」

「そうそう、最初はどうかと思いましたけど、結構落ち着くんですよね」

ビルに入り、THREEに小笠原と同伴する。
いつもはシーズンズで同伴していたから、少しだけ変な気分だ。

お店に入って、タイムカードを切ろうとバックに入ったら、さっそく小林の困った声が聞こえてきた。

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