【完】さつきあめ
わたしに気づいた小林が話を掛けてきた。

「さくらちゃんおはよう!入って2日目で同伴なんてさすがだね!
あっ!そのワンピースすごく似合ってて可愛いよ~!
うんうん、さくらちゃんはスタイルもいいし大人っぽい顔立ちだから綺麗めがよく似合うねぇ~~!」

歯が浮くようなお世辞が気持ち悪い。小林が悪い人ではないのはわかるのだが、言われ慣れていないのだ。
これも深海は絶対に言わなかった事だ。

「ありがとうございます…」

「あ、今日もさっそく指名が入ってるから同伴の小笠原さんには美優ちゃんをヘルプで着けておくね?先に来ている指名回りお願いします」

「はい…よろしくお願いします」

「あと、うちはシーズンズよりずっとフリーのお客さんも多いから、ナンバーの女の子は指名が入ってても数分抜いてフリーに着いてもらうから、どんどん新規開拓しちゃって!
ゆいちゃんも、ね?!」

「えー…あたしは新規とかいいよー…」

「ゆいちゃんには原田部長も期待してるんだから、頑張ろう!ね?!」

「はいはい」

熱血の小林と冷めたゆいのやりとりは中々に面白い。
そのやり取りを見ていると、高橋がこちらへ駆け寄ってきた。

「今日は月に一度の社長たちのクラブの会合があってTHREEを利用するみたい。
さくらも呼ばれると思うから、準備しといてね。たぶん中心は森田さんっていう人だから、指名取れるように頑張れよな」

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