【完】さつきあめ
営業終了後、ぼんやりとホールのソファーに座り、新しくなった名刺を眺めていた。
シーズンズは桜の花模様が名刺に印刷されていたが、THREEの名刺にも桜とは違う花模様が印刷されていた。
これは、スミレの花模様だろうか。
「高橋くん、これ、スミレかな?」
「あぁ、THREEはスミレだね。
それにしても会長もロマンチストだよな」
わたしの手から名刺を取って、じぃっとそれを見つめた。
「ロマンチスト?」
「何でも歴代の彼女の名前を印刷してるって噂だよ。
自分が好きになった女の源氏に花の名前つけるの好きらしい」
「ねぇ!それって!ONEと双葉は?!」
身を乗り出して聞いたら、高橋は少し驚いてうーんと考え始めた。
「ONEがカスミソウで、双葉がジャスミンの花だったはずだよ?
ちなみにジャスミンは和名でまりかね」
「あー…そう、そうだよね、うん…」
「なんだよ、変な奴」
会長が愛した女たち。その中にあるはずもない名前を探してしまった自分に愕然とした。
あの名があるはずもないのに、あの人が愛したわけでもないはずなのに…。期待してしまう自分がいるなんて。
「じゃあ、今度出来るっていう新店はゆりの花なのかなぁ」
「さぁ、どうなんだか。会長の考えてる事はよくわかんね。
女の趣味もわりぃし」
そう言ってじぃっと再びわたしの顔を見た。
「何?」
「いやぁ、綺麗になったなぁと思って」
「何?!気持ち悪っ」
「綺麗な女だと出会った時から思ってたけど、さくらはどんどん綺麗になっていくなぁって」
「いや、だから気持ち悪いって…
はっ!あんたまさかあたしの事好きになった?!ダメだよ!あたしの心は、光の物だから」
冗談で言ったつもりが、高橋はそれに反して真剣な顔をした。
シーズンズは桜の花模様が名刺に印刷されていたが、THREEの名刺にも桜とは違う花模様が印刷されていた。
これは、スミレの花模様だろうか。
「高橋くん、これ、スミレかな?」
「あぁ、THREEはスミレだね。
それにしても会長もロマンチストだよな」
わたしの手から名刺を取って、じぃっとそれを見つめた。
「ロマンチスト?」
「何でも歴代の彼女の名前を印刷してるって噂だよ。
自分が好きになった女の源氏に花の名前つけるの好きらしい」
「ねぇ!それって!ONEと双葉は?!」
身を乗り出して聞いたら、高橋は少し驚いてうーんと考え始めた。
「ONEがカスミソウで、双葉がジャスミンの花だったはずだよ?
ちなみにジャスミンは和名でまりかね」
「あー…そう、そうだよね、うん…」
「なんだよ、変な奴」
会長が愛した女たち。その中にあるはずもない名前を探してしまった自分に愕然とした。
あの名があるはずもないのに、あの人が愛したわけでもないはずなのに…。期待してしまう自分がいるなんて。
「じゃあ、今度出来るっていう新店はゆりの花なのかなぁ」
「さぁ、どうなんだか。会長の考えてる事はよくわかんね。
女の趣味もわりぃし」
そう言ってじぃっと再びわたしの顔を見た。
「何?」
「いやぁ、綺麗になったなぁと思って」
「何?!気持ち悪っ」
「綺麗な女だと出会った時から思ってたけど、さくらはどんどん綺麗になっていくなぁって」
「いや、だから気持ち悪いって…
はっ!あんたまさかあたしの事好きになった?!ダメだよ!あたしの心は、光の物だから」
冗談で言ったつもりが、高橋はそれに反して真剣な顔をした。