【完】さつきあめ
「俺、社長とさくらの恋を応援しなかったのは、元々綾乃さんとの事知ってたからなんだ。
綾乃さんと社長の間にどういった関係があるのかは知らないけど、あんな社長の姿見てたら、何かさくらの事本気だったんだなぁって思って、すごく罪悪感がわいてきちまった」
「あんな社長の姿って…?」
「何か元気がないんだよ。あの人らしくない感じでさ」
そんな言葉を聞くと、また気持ちがぐらぐらと揺れる。
突き放したのも、離れたのも光の方なんだ。
「あたしのせいで元気がないわけじゃないと思うよ。
それより今は仕事仕事。ね、高橋くん一緒に頑張らなきゃね」
「何だよ~、昨日までべそべそ泣いてたくせに。
まぁさくらならTHREEでも簡単にナンバー1になると俺は思ってたけど、実際店売りでも凛さんの売り上げに勝ってたしさ、凛さんどんどん成績悪くなってるとも聞いてたから、でも、なんか…難しそうだよな…」
ちらりと高橋が視線を移す、わたしも同じ場所へ視線を移す。
きっと考えている事は同じ事だろう。
視線の先、原田と楽しそうに話してるゆいが、わたしに気づき、目を輝かせながら、こちらへ向かってくる。
「さくらーーー!!」
拍子抜けしてしまう無邪気さだ。
「すごいね、あの子。入店3か月だって。
実質、時間の問題でこの店のナンバー1は凛さんじゃなくてあの子だってずっと言われてたみたい」