【完】さつきあめ

「俺、社長とさくらの恋を応援しなかったのは、元々綾乃さんとの事知ってたからなんだ。
綾乃さんと社長の間にどういった関係があるのかは知らないけど、あんな社長の姿見てたら、何かさくらの事本気だったんだなぁって思って、すごく罪悪感がわいてきちまった」

「あんな社長の姿って…?」

「何か元気がないんだよ。あの人らしくない感じでさ」

そんな言葉を聞くと、また気持ちがぐらぐらと揺れる。
突き放したのも、離れたのも光の方なんだ。

「あたしのせいで元気がないわけじゃないと思うよ。
それより今は仕事仕事。ね、高橋くん一緒に頑張らなきゃね」

「何だよ~、昨日までべそべそ泣いてたくせに。
まぁさくらならTHREEでも簡単にナンバー1になると俺は思ってたけど、実際店売りでも凛さんの売り上げに勝ってたしさ、凛さんどんどん成績悪くなってるとも聞いてたから、でも、なんか…難しそうだよな…」

ちらりと高橋が視線を移す、わたしも同じ場所へ視線を移す。
きっと考えている事は同じ事だろう。

視線の先、原田と楽しそうに話してるゆいが、わたしに気づき、目を輝かせながら、こちらへ向かってくる。

「さくらーーー!!」

拍子抜けしてしまう無邪気さだ。

「すごいね、あの子。入店3か月だって。
実質、時間の問題でこの店のナンバー1は凛さんじゃなくてあの子だってずっと言われてたみたい」

< 341 / 598 >

この作品をシェア

pagetop