【完】さつきあめ

タクシーに乗り込み、朝日の自宅のマンション前につくと、涼は目を大きく見開いて「成功者って感じのマンションだな」と言った。

「無駄に広いって感じだよ、1人で暮らす感じの家じゃない」

「へー、やけに詳しいな、何度も入った事ある感じ」

朝日を抱えながら、ニヤニヤと涼は笑った。

「そんなんじゃないから!
ここに系列のママが住んでて、その人の部屋に入った事があるの!
宮沢さんちには入った事はないから!」

「あぁ、例の‘由真’ママね」

「そうそう、今度涼一緒に飲みに行こう!」

「やだよ、1ヵ月分の給料全部とられそうだし」

「それくらいあたしが奢るよ」

「さすがナンバー1キャバ嬢さん!」

「もぉやめてよ!!

あっ!」

タクシーからおりて、マンションのエントランス前。
身に覚えのあるシルエットが映し出された。
その人の顔がマンションの照明ではっきりと照らされた瞬間、胸がどくんと高鳴るのを感じた。

「さくら…?」

いつ見ても、人の目を惹きつけてやまない。
その人のどこをとっても、美しくないところなんて見つけられないくらい、綺麗な人。

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