【完】さつきあめ
ガシャーン!
大きな金属音と共に、虚ろだった意識がだんだんとはっきりとしてきた。
うーんと小さなうなり声をあげて、ふわふわの布団を握りしめる。
自分の匂いじゃない香りが鼻をかすめて、飛び上がるように起き上がった。
「ここ……」
外からざあざあと雨音が聴こえた。
わたしの部屋じゃない。もちろんわたしのベッドでもない。
慌てて布団をはぎとって、立ち上がる。
ここは朝日の家で、これは朝日のベッドだ。しかし横を見ても、朝日の姿はなかった。
おそるおそるリビングへ行くと、リビングから続くキッチンで朝日が小難しそうな顔をしてフライパンとにらめっこをしている。
わたしに気づくと、「おう、おはよ」と言った。
「何、してるんですか?」
「何って、料理??」
「料理出来るんですか?!」
「できねーから困ってるわけだ。
昨日のお礼に朝ご飯でも作ってやろうかなって思ってスーパーでそれらしい材料は買ってきたんだけど、何をどうやっていいかわからん…」
出来ないのに、何故やろうとするのか。
わざわざ起きてからスーパーに行って、それでも朝ご飯を作ろうとしたのか。
この人は、なんていうか知れば知るほど印象が変わっていく不思議な人だ。
それと同時に損な人だとも思う。
「貸してくださいよ、あたしがやります」
「料理が出来るのか?!」
「いや、それそんなにびっくりすること?
1人暮らしですから、簡単な料理くらいはできますよ」
「すげーな」
大きな金属音と共に、虚ろだった意識がだんだんとはっきりとしてきた。
うーんと小さなうなり声をあげて、ふわふわの布団を握りしめる。
自分の匂いじゃない香りが鼻をかすめて、飛び上がるように起き上がった。
「ここ……」
外からざあざあと雨音が聴こえた。
わたしの部屋じゃない。もちろんわたしのベッドでもない。
慌てて布団をはぎとって、立ち上がる。
ここは朝日の家で、これは朝日のベッドだ。しかし横を見ても、朝日の姿はなかった。
おそるおそるリビングへ行くと、リビングから続くキッチンで朝日が小難しそうな顔をしてフライパンとにらめっこをしている。
わたしに気づくと、「おう、おはよ」と言った。
「何、してるんですか?」
「何って、料理??」
「料理出来るんですか?!」
「できねーから困ってるわけだ。
昨日のお礼に朝ご飯でも作ってやろうかなって思ってスーパーでそれらしい材料は買ってきたんだけど、何をどうやっていいかわからん…」
出来ないのに、何故やろうとするのか。
わざわざ起きてからスーパーに行って、それでも朝ご飯を作ろうとしたのか。
この人は、なんていうか知れば知るほど印象が変わっていく不思議な人だ。
それと同時に損な人だとも思う。
「貸してくださいよ、あたしがやります」
「料理が出来るのか?!」
「いや、それそんなにびっくりすること?
1人暮らしですから、簡単な料理くらいはできますよ」
「すげーな」