【完】さつきあめ
「なんですか~?!」
「なんですか~じゃないよ!何で店に来た?!」
「何でって…働いてるお店に普通に出勤してきただけですけど…
だって、指名のお客さんは来るし…」
「有明の店が12月にオープンする」
朝日はさらりと言った。 その言葉に動揺する。そんなに早く?一体いつから話は進んでいたのだというのだろう。
「ダイヤモンドのオーナーが今の店ごと有明に渡したらしい。
そして新店舗もオープンするって話。
店の看板は、光と一緒にいた女だな」
「南さん……。
ねぇ、でも店ごと光に渡すって…ダイヤモンドのオーナーって…」
「親父だよ。店ごと買い取った」
「光と宮沢さんのお父さん?!」
「お前は詳しく聞いてないかもしれないけど、俺たちの親父ってのは結構大きな会社の社長でな。
いずれは全部を有明に託すつもりではいるんだろうけど、まぁ光の夢を叶えてやったんじゃねぇか?」
「宮沢さんは全部自分の力で七色グループを大きくしてきた…」
いつか綾乃が言っていた、光は全てを与えられて、朝日は何一つ与えられなかったって。
それでも朝日はひとりで、たったひとりでここまでお店を大きくしてきた。
やっぱり光のやり方は応援出来ないよ。