【完】さつきあめ

「元カノって言っても10代の頃からだから随分昔の話になるのよ。
朝日が店を持つずっと前からだからね」

「そんな昔から会長の事知ってるんですか~?!」

「うん。まぁね。あいつ結構一途だから付き合ったら長いの。
あたしとは5年以上付き合ってたわよ」

「「長っ!!」」

わたしと美優の声が綺麗にはもって、それを見て菫はまた大笑いをする。

「そこらの女以上に朝日の事は知ってるつもり。
何か知りたい事があったら聞いてね、さくらちゃん」

何故そこでわたしの名指しなのだろう。

「別に…宮沢さんの事なんて…」

聞きたくもないのに、菫は話を続けた。
朝日は大切だったり愛してた女の名を名刺のデザインに刻む。
相当キザだと思う。

THREEが出来たのはシーズンズより前。
ならばさくらさんより前に付き合っていた彼女になる。
後は、ONEと双葉。ONEにはカスミソウの花が、双葉にはジャスミンの花の刺繍がほどこされてると高橋が言ってた。
ならばこの世界のどこかに朝日が大切に思ってる女が後2人。
カスミソウならかすみ、ジャスミンなら和名でまりか、その2人がこの世界にいるのだろう。


「付き合ってた5年の全てが楽しい思い出ってわけじゃあないけど。
嫌な事もいっぱいされたし、遊んでる女も沢山いたし
でもこうやって自分の名前が名刺に刻まれてるのを見ると、やっぱ憎めないかなって思うわ」

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