【完】さつきあめ
「でも結果的にいま結婚してて幸せよー!
それでもあの朝日があたしに頼んでくるんだもん。あのプライドの高い男が
それならちょっと働くのもいいかなーって」
「そうですか…」
顔も綺麗だけど、中身も素敵な人だ。この人。
こんな綺麗な人たちが元カノで、どうして朝日はわたしがいいんだろうか。
…光はわたしの中のさくらさんを見てるってハッキリわかった。でも朝日は?
「あの、菫さんは…さくらさんの事を知っていますか?」
わたしの問いかけに、柔らかい笑顔を見せる。
「勿論知ってるわ。朝日と別れてもあたしはずっと友達だったから」
「あの…、あたし、さくらさんに似てますか?」
そう問うと、菫は不思議そうな顔をした。
「似てると言えば似ているような。
さくらちゃんも綺麗だし、さくらも綺麗だったからねー。
ま、似ていても別物だからね、結局。
朝日は過去を大切にする男だけど、過去にとらわれるような人じゃないわ」
そう言って、肩を叩いた。
何となく、菫はわたしと朝日の関係を誤解してるような気がする。
それからほどなくしてから営業は始まった。いつもよりキャストの少ないTHREE、それでも菫が入ったお陰でお店がいつもより華やかに見えるような気がする。
「今日は女の子の出勤が少ないみたいだね」
小笠原がお店に来てくれて、ホールを見回しながら言った。
「あぁ、まぁ…。今日もVIP空いてなくてごめんなさい…小笠原さん」