【完】さつきあめ

「やっぱり宮沢さんはおしゃれなお店知ってますね」

「女はこーゆーの好きだろ。俺は汚い焼肉屋とかラーメン屋のが好きだけどな」

「あらー、あたしも焼肉とラーメンどっちも好きですけどね。前に宮沢さんが連れてってくれた韓国人のやってる焼肉屋さんも美味しかったし」

「お前は変わってるからな。
お水の女はあれは嫌だ、これは嫌だってうるせぇ女が多いから
ネットでいちいちこういう場所調べて勝手に覚えた。

お前何食べる?」

「んー焼き鳥の盛り合わせと、お刺身盛り合わせ。あと生春巻きと、お漬物盛り合わせ」

こしゃれた、と言っても普通のチェーン店のメニューもあるのだ。質が違うのだろうけど。

「お前、俺に食わせるとか言って、自分が食う気まんまんじゃねぇか」

「宮沢さん、食べたがってたシェフ特性のハンバーグとオムライスもありますよ!」

「俺はお前の手作りが食べたいっつったの。たくっ…」

お腹が空いてる、と言ったのに朝日はあまり頼まなかった。
その代わりお酒が進んでいるようにも感じる。
昨日の今日で食欲がわかないのもわかるけど…。

頼んだメニューが続々と届き、あれも食べろ、これも食べろ、と言うと、うるせぇと言いながら朝日は口に運んだ。
チェーン店の焼き鳥よりずっと柔らかくて、お刺身の盛り合わせのネタもずっと豪華だった。
それでも朝日は美味しくなさそうにそれを口に運ぶ。
朝ご飯で作った目玉焼きとウィンナーはあんなに嬉しそうに食べていたのに。

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