【完】さつきあめ
「あたしにもわかんないの、さくらはずっと光と付き合ってた。でも突然朝日と付き合いだして、何も言わずに死んでしまったから
光と朝日を見て、朝日が無理やり光からさくらを奪ったように見えた。
あたしもずっとそう思って生きてきた。だから朝日の事を恨んだりもしたわ。
でも…今は…そうじゃないかもしれないって思い始めてる」
「え?」
「あの時のさくらの気持ちがわからなかったから。
朝日の事が好きだなんて夢にも思わなかったから。そんな事考えもしなかった。
朝日は大人になって、小さな頃手に入れられなかったものを自分の力で手にいれはじめた。
もしかしたら私たちは思い違いをしていたのかもしれないって
さくらが本当に好きだったのは、光じゃなくて、朝日だったのかもしれないって。
あたしは、あなたを見て、思い始めた」
「あたしを…?」
「さくら、光が本当に好きならば、今、光のところへ行くべきだわ。
七色の事なんか何も考えず、光のところへ。
そうすることが最善なのに、それをしない理由が何かある?」
私たちの話を黙って聞いていた涼が口を開く。
「もーお前らさー。その死んだ?さくらって奴が今更誰が好きだったかなんかどうでもいいことなんだっつの!
人は過去に生きれない。生きてる俺たちは今しか生きれないんだっつの。
さくらは死んださくらの代わりなんかじゃないんだから、お前はお前の好きなように、1番いたい場所にいればいいだけだろ。
単純な事じゃん」
涼はあっけらかんと言って、綾乃は納得したという感じで頷いた。