何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
例え桜が俺と離れることになったとしても。だって、俺が桜の立場だったら、大切な人に起こっていることは、知っておきたい。

だから言わなければならない。ーーだけど。

なかなか決断ができなかった。桜と一緒にいる時間が楽しすぎて、幸せすぎて。

一秒でも長く彼女と一緒にいたい。だけど、離れてしまう結果になるかもしれないことを、俺を早く伝えなければならない。

ーー最近はその板挟みに、俺はひどく苦しんでいたのだった。


「私は絶対に悠から離れない。この先何があったとしてもね」


悲しそうに笑いながらも、美香がはっきりとそう言った。その言葉には、固い決意が込められているのが俺には感じられた。

俺は俯いたまま、何も言うことができなかった。
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