何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「あり、がとう! じゃ、またね!」


荒く呼吸をしながら、たどたどしく心からのお礼を言って、私は詩織との通話を切る。その直後、ちょうど病院の入口へと着いた。

そして通話を切った時に、スマホの画面にはメッセージが表示された。差出人は悠から。


『3階の集中治療室前にいます』


状況とメッセージの内容的に考えると、悠のお母さんが送信してくれたものだろう。

私は病院内を駆け足で移動し、3階へと向かった。途中看護師さんに睨まれたけれど、気にしている余裕なんてなかった。

そしてたどり着いた集中治療室前のベンチには、40代前半くらいの女性が座っていた。

長い髪を綺麗に巻いていて、アンサンブルにシフォンスカートを着た上品そうな美しい女性だった。

大きな瞳が悠にとてもよく似ている。一瞬で、彼の母親であることが分かる。


「あの……」


彼女は突然現れた私をじっと見ていたが、私が口を開くと、疲れていた顔をぎこちない笑みへと変えた。


「さっきの電話の子ね。悠のために来てくれて、ありがとう」


こんな状況にも関わらず、悠のお母さんは落ち着いた声音で私の感謝の意を表す。しかしその顔色の悪さが、彼女の疲労感を物語っていた。


「は、はい! あの、それで悠……悠くんの状態は……」
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