何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
ーーずっと一緒にいようって、花火の前で約束したのだから。

その後、悠が目覚めるのを待つ間、私は悠のお母さんとたくさん話をした。

悠は、道路に飛び出してきた子供をかばおうとして、軽自動車にぶつかってしまったそうだ。先程子供の両親が、土下座をする勢いで謝罪をしに来たとか。

事故にあった理由も悠らしいし、「子供が助かったんなら、何よりよね」と、穏やかに言う悠のお母さんも、悠のお母さんらしかった。

そして、彼には小学6年生の弟がいて、今日は習い事のプールの合宿へ行っていること。

お兄ちゃんのことが大好きな子で、事故のことを聞いたら動揺してしまうだろうから、合宿から帰ってきたら伝えるそうだ。

また、悠のお父さんも、たまたま仕事の出張中で現在は北海道にいるらしい。仕事を切り上げて、急いで飛行機でこちらまで戻ってくるとのことだ。

さらに、悠の小さい頃の話を、彼のお母さんは私に教えてくれた。

人一倍泣き虫で甘えん坊だったこと。友達にいじめられて泣いて帰ってきた日は、飼っていた猫を抱きしめて一緒に寝ていたこと。

そしていつも自分よりも人のことを優先する、誰よりも優しい子だったこと。


「男の子だし、ここ数年は家での口数は減っちゃったから、学校での様子はよく知らないんだけどね」
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