何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「お母さん! 悠は!? 大丈夫なのか!?」


ビジネススーツをきっちりと着こなした、長身の中年男性だった。綺麗に通った鼻筋と、形の良い唇が悠にそっくりだった。彼の父親であることは、一目瞭然だった。


「ーーお帰りなさい、お父さん。さっきスマホに送った通りよ。手術は無事終わったけれど、まだ悠の目は覚めなくて……」

「そうか……。まあ、命に別状がないだけ、よかったよ。そのうち目を覚ますだろう」


悠のお母さんとそんな会話を広げながら、彼女の隣に腰を下ろす悠のお父さん。そして私の方をちらりと見たので、その拍子に目が合ってしまう。

彼は私を不審な存在……とまでは思っていないようだったけれど、不思議そうに見ていた。

息子の一大事にそばにいる女の子。父親にとっては、気になるだろう。


「ーーああ。この子は折原桜さん。悠が心配で来てくれた、お友達よ」

「こ、こんにちは」


自己紹介する前に、悠のお母さんが私の素性を説明してくれたので、悠のお父さんの表情が一気に和らいだ。


「ーーそうですか。息子を心配してくれて、ありがとう」


そして私に笑顔を向けながら、親しげにそう言ってくれた。ーーお母さんと同じで、お父さんも私の見た目を一切気にしていない。

いいご両親に育てられたんだね、悠。
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