何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。



悠のことが気になって、私はまったく寝れなかったけれど、さすがに朝になると少しうとうとしてきた。

夜勤から帰ってきたお母さんが、就寝の準備をしている音をぼんやりと聞きながら、布団の中でぼーっとまどろむ私。

ーーすると。

枕元に置いておいたスマホが、メッセージを受信した音を鳴らした。それを聞いた瞬間、眠気が一気に吹き飛ぶ。

私はがばっと急いで身を起こすと、素早くスマホの画面をタップし、メッセージの内容を確認する。

差出人は、想像通り悠のお母さん。そして、メッセージの内容はーー。


『悠、1時間ほど前に目を覚ましました。少し混乱しているようだけど、しっかり会話ができています。念の為これから精密検査です。お見舞いは、病院が開く9時から可能です』


確認するやいなや、深い安堵感に支配される。私はスマホを胸に抱き、「よかった」と声に出して言った。

そして瞳からはぽろぽろと涙が零れた。安心感から泣いたのは、生まれて初めての経験だった。それほどまでに私は悠のことを案じていたのだろう。

時刻はまだ八時過ぎだった。ほとんど眠っていないせいで全身に倦怠感があったけれど、そんなことには構ってられない。9時ぴったりに病院に着かなければ。

『何か出来ることがあったら、言ってね』と言ってくれた詩織に、今の状況を説明したメッセージを送ると、私はお見舞いに行くための身支度を始めた。
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