何度記憶をなくしても、きみに好きと伝えるよ。
「ーーはい。ダメよ。二人とも、落ち着いて」


悠のお母さんが詩織と美香ちゃんの間に割って入った。若い私達はほぼ全員が動揺しているというのに、彼女は落ち着いていた。


「どうやら、事故のショックで悠の記憶があやふやになっているみたいね。お医者さんに相談してみましょう」


そして彼女は私の方を向くと、優しく微笑んでこう言った。


「ーー桜ちゃん。私はあなたが嘘をついているとは思っていないわ。あなたが悠を心から心配する姿を、見ているもの。まだ出会って少ししか経っていないけと、あなたは嘘をつくような子じゃないと思う」


その言葉は、茫然自失として、絶望すら感じていた私には、あまりにも慈悲深くて。

涙腺が勝手に緩んでしまった。しかしこんないろんな人がいる場で泣いてしまうのはかっこ悪い気がして、私は唇を噛んで落涙するのを堪える。

滲んだ視界の端には、美香ちゃんの仏頂面が映った。


「ーーだけどね、桜ちゃん。美香も悠とはずっと仲が良くてね。ーー従姉妹だから、もう10年以上もね。だから、美香も悠が悲しむようなことはしないと思うのよ」


ーーそれはそうだろう。

美香ちゃんは悠の従姉妹。悠が生まれた時から、彼に関わっている血の繋がりがある親族。

彼女には、彼や彼のお母さんと今まで積み上げてきた信頼関係があるだろう。
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